変形性頸椎症 of 脊髄外科ジャーナル



脊髄外科を新たな観点から見直していきたいと考えています



変形性頸椎症

椎間板は加齢とともに水分を失っていき,徐々に押しつぶされていきます.その結果,椎間板が線維輪や骨膜と伴に膨隆し,骨膜の下に新たな骨が成長し(骨膜下骨新生),骨がくちばしのように飛び出していきます.飛び出した骨を骨棘といいますが,骨棘により脊髄や神経が圧迫されて症状が発生します.このような病気を変形性頸椎症といいますが,高齢になるほど発生率が高くなり,80歳以上では3割近くの人が,頸椎の変形により脊髄が圧迫されていると報告されています.

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教科書では上述のように骨棘により脊髄が圧迫されることが重要視されていますが,我々の経験では,黄色靭帯の肥厚により後方から脊髄が圧迫されることも症状発生の大きな要因ではないかと考えています.黄色靭帯は椎弓と椎弓を結んでいますが,椎間板の水分の減少に伴い椎間板が不安定になり,それを代償するために黄色靭帯が肥厚するというのが黄色靭帯肥厚のメカニズムと考えられています.

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